詐欺に遭いかけたので、注意喚起として情報を共有します。
InstagramでPR依頼
InstagramのDMで「Rituals」というアムステルダム発のボディ・バス・ホームケアブランドのPRを依頼されました。
興味があればLINEでメッセージを、とのことだったので、”少し怪しい?”と思いながらもとりあえずLINEしてみることに。
PR依頼では、ブランド公式とは別のアカウントから連絡される場合があります。そういうアカウントはフォロワーがあまり多くなかったり、日本語が少し不自然だったり、一見すると怪しいと思うものもあります。
私にとってそれは、信頼できるPR案件のやりとりでもときどきあることでした。海外の企業ならなおさらです。そのため多少疑いの気持ちを持ちつつも、LINEで連絡してしまいました。
LINEでのやりとり
LINEのリンクをタップすると「猪刈彩花」というアカウントが表示されました。「リチュアルズジャパン株式会社」と書いてあり、アイコンもRitualsのロゴです。
早速メッセージを送ると、希望の報酬を聞かれました。報酬をこちらから提案した経験がないため調べてみると、フォロワー数×1円~4円が相場という情報が出てきました。
そのときのフォロワー数は1,832人だったので、2,000円を提示してみました。すると、相手からは1投稿20,000円を提案されました。
1つケタを間違えているのでは?と思いましたが、正直2,000円でも20,000円でも案件を受託できればいいと思っていたので、細かいことは聞かず話を進めることにしました。
とはいえ、高すぎる報酬に”やっぱり怪しい?”と思い「Rituals」や「猪刈彩花」を調べてみたのですが、詐欺などの情報は見つかりませんでした。
その後、契約期間や商品の希望を聞かれました。このやりとりで、疑いより信用する気持ちが上回りました。
もし怪しい案件なら、わざわざ契約期間や商品を選ばせるような面倒なことはしないだろうと思ったのです。
ここで改めて、報酬の確認が行われました。6ヵ月間で160,000円の報酬。やはり1投稿20,000で間違っていなかったようです。
報酬に問題がないことを確認すると、契約書の草案が送られてきました。契約書があるなら安心だと、さらに信頼してしまいました。契約書の内容も問題ないように思えました。
そして、契約書により「報酬は株式会社シェアマネを通じて支払われる」ことが分かりました。
「シェアマネ」の検索結果
疑いの気持ちが全てなくなったわけではなかったので、シェアマネを調べてみると、初めて詐欺の情報が出てきました。
数人の体験談を読むと手口は皆一緒で、
SNSでPR案件を依頼される
↓
LINEでやりとりし、契約を交わす
↓
報酬を受け取るため「シェアマネ」に銀行口座を登録する
↓
報酬の入金後、出金申請すると”登録情報が間違っているから出金できない”と言われる
↓
確認すると口座番号が一桁違っている
↓
口座が凍結され、凍結解除のために補償金を求められる(補償金はその後返金すると言われる)
↓
補償金を振り込むが、その後も出金できない
↓
“一度ミスをしていて信用度が低いので、信用度を上げるためさらに振り込みを”と言われる
というものでした。
私とはPRするブランドやLINEの名前などが異なっていましたが、PR依頼から契約までの流れが似ており、自分もこの詐欺に巻き込まれている可能性が高いと思いました。
もう一度InstagramのDMを確認しようとすると、アカウントが消えていてメッセージは見られませんでした。
契約完了まで
こうなったら詐欺だと確定するまでやりとりを続けてみよう!と思い、契約書を確認した旨を伝えると、予想通り「シェアマネ」のリンクが送られてきました。
リンクをクリックすると仕事の詳細やクライアント情報などが表示され、よくあるクラウドソーシングサイトのような外観と内容でした。
「本人確認済み」などの文言が”信頼できそう”と思わせます。
「仕事を応募」するには会員登録と銀行口座の登録を行わなければならないので、それぞれ必要な情報を入力し、登録を完了しました。
「仕事を応募」ボタンを押し、氏名や電話番号などを入力、「確認する」をタップすると契約書が表示されました。
リチュアルズジャパン株式会社や猪刈彩花の名前が入っています。署名エリアに指で自分の名前を書き、契約が完了しました。
入金連絡と報酬凍結
署名まで終わったことをLINEで伝えた翌日、入金の連絡が来ました。シェアマネのサイトで取引履歴を見てみると、確かに+160,000円となっています。
いよいよ出金申請です。この時点では出金できたかのように見えましたが、2時間以上経って銀行口座の情報に誤りがあるため報酬が凍結されたというメールが届きました。(ちなみに、このメールを含めてシェアマネからのメールは全て迷惑メールに振り分けられています)
凍結解除にはオンラインカスタマーサポートへ連絡する必要があるとのことです。シェアマネのトップページにある「オンラインサポート」をタップすると、「岡本朱里」のLINEに繋がりました。
凍結されたことを伝えたら、口座情報の確認と、本人確認書類および口座番号がわかる写真の提出を求められました。
これ以上はさすがに危険だと思い、ここでやりとりを止めました。
シェアマネで口座情報を見てみると、確かに口座番号が1つ違っていました。もし本人確認書類や正しい口座番号を提出すれば、その後には補償金を要求されたのだろうと思います。
「猪刈彩花」と「岡本朱里」のLINEはブロックしました。
この詐欺が巧妙であるポイント
普段なら怪しい案件と信頼できる案件はだいたいすぐに見分けられるのに、どうして今回は途中まで信じてしまったのか?その理由を考えてみました。
絶妙な商品選定
自分の体験と他の方の体験談で分かったのは、PRを依頼される商品はいろいろで、対象者が興味を持ちそうな商品が選ばれているということです。
私にRitualsの依頼が来たのは、すでにボディケア製品などのPRを行っていたからだと思います。
これが一度もPRしたことがないジャンルの商品だったら完全に怪しいと思うかもしれませんが、自分にPR依頼があってもおかしくない商品なので、まともな案件と見分けるのが難しくなります。
高すぎる報酬も、”今までの投稿を見てそれだけの価値があると思ってくれたのかも?”と信頼してしまいました。
契約までの過程
契約期間や商品の選択、契約書の送付など、詐欺ではない本当の案件かのようなプロセスで行われます。
本来、詐欺師からすればそんな行程はどうでもいいはずですが、いきなりお金のやりとりに持っていかず、ひとつひとつステップを踏んでいくことで、徐々に信頼できる案件だと思わせてきます。
シェアマネのサイト
シェアマネは主に動画クリエイターが登録するサイトとして作られていて、動画制作の流れや今までの実績、募集案件などが表示されます。見かけでは安全なクラウドソーシングサイトと変わりません。
実は最初にシェアマネを調べたとき、詐欺の情報を見る前にシェアマネのサイトを見ていたのですが、怪しいサイトだとは全く思いませんでした。
まとめ
「シェアマネ」を調べたことが転機となって詐欺に気づくことができましたが、もし詐欺の情報を見つけられないままやりとりを続けていたらどうなっていただろうと恐ろしくなります。
「シェアマネ」に誘導されたら詐欺だと思ってください。
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